自然との交わりの中で多くの子供たちが会場内を駆け回る夏の風物イベント『Rainbow CHILD 2020』が今年も岐阜県八百津町蘇水公園を舞台に開催された。東日本大震災以降各地で災害ボランティア活動を続けるボランティア団体『海旅団』から生れたこのフェスティバルは、地球との調和、優しい革命、自由と音楽、武器を楽器に、世界平和、こどもたちとの島創り、未来に虹をかけるという想いが込められ、フェスティバルで踊ったパワーを、ボランティアをはじめとする社会貢献、災害支援活動に還元することを目的に2014年から毎年開催されている。
連日記録的な最高気温を更新する岐阜県八百津に今年も多くのアーティストが集う。
木曽川に沿って広がる豊かな自然が魅力なのだが、この日も例外ではなく午前中から強い日差しと盆地平野部特有のこもる熱風に加え、昼が近づいたあたりから忍び寄る黒い雲。灼熱の猛暑と恵みの雨なのか雲のいたずら心なのか、瞬間的に大粒の豪雨が打ち付けるという、ひとつひとつ空が見せるアクションのデカさに振り回されるつつも、無邪気に走り回る多くの子供達の姿に尊さを感じ、潜在意識の中にある自然に対する危機意識を強固にすると共に「これは試練なのか、いや、これが自然なのだ」と自問自答しながらより一層楽しむためのマインドを発動。
ライブ、大道芸、トークイベント、アート、マリンスポーツ、サッカーの無料ワークショップに加え、飲食、服飾、雑貨、マッサージなど多くの出店が華を添えた。
今年は日盛りのリバーサイドステージが例年とはまた違う盛り上がりを見せていた。地元の精鋭やその繋がりから構成された『キッズダンス』そして『よさこい』という2つのステージは見ごたえ、賑わい共に突出していた。老若男女がひとつにフロアを目一杯使い、粋とも言えるその個性を躍動感を持って魅せつけた。様々な運営努力と地元の理解があり成り立つ祭りにおいて、こういった地元の方が輝ける舞台は印象的な時間を見出し、活力としてこのイベントの更なる可能性を映し出してくれていたと思う。
もちろん各ステージ、それぞれのライブもしっかりとした良質な音楽、踊らずにはいられない心地よいビート、疾風怒濤のパフォーマンスなど見ごたえ充分なものであった。
風情あるカントリー・ブルースを響かせた『Big Bone』、流浪のごとく颯爽かつ濃密にステージを展開した『どさフェス』アーティスト、審美的なアンサンブルでサンシャインステージのオープニングを飾った『ellmer』、飽くなきジャーニーを続ける『yanafro』、過激な妖艶を解き放った『つしまみれ』、奮い起こす導因を会場内に与えた『SAIRU』、切り拓く姿勢を示した『TOSHI蝮』、最も暑い時間帯の虹空ステージで哀愁と情景を浮かび上がらせた『Makoto Okazaki』、新鮮な輝きを魅せた『MADKID』、純粋なる情感と温もりに酷暑の中でも穏やかな気持ちにさせてくれた『かむあそうトライブス』、豊かなイマジネーションを振りまいた『Dachambo』、心地よい柔らかさと温かさを感じさせた『寺尾紗穂』、肯定的なパワフルさで場を掌握した『ハンサム判治』、豪雨の中、乱舞へ誘い想像力を描き立てるセレクトをした『OBRIGARRD』、雨中での音遊びと煽動『UNCHAIN』、The Novelestilo × DELI、RINO LATINA II、TOMI-E のヒップホップステージは熟成の領域に入ったアイデンティティと濃厚な突端を極めた。
また、『KING BROTHERS』はスリリングな衝動を、『わかないづみ』は愛嬌と魅惑な音色を、『横川圭希』が親しみやすい投げかけを行い、『工藤真工』がサイケデリックな形相を会場内のテントに映し出した。
さらに様々なハイライトを数え迎えたクライマックス、雨で消されたキャンドルさえも幻想的に生える『bird』は、淡い色彩と清く透明な時間の流れを感じさせ、大トリを飾った『Rickie-G』は、音楽的充実に加え抱擁とも言える渦で会場内を包みこんだ。
何度も言うが、本当に今年は猛暑&豪雨。そんな天候だから、正直快適度合は決して高いものではない中でいかに楽しむか、有意義に過ごすか、その姿勢と覚悟を試されている感覚もあったし、ちょっと前まで晴天だったのが、サウンドチェック時や、ライブ終演まじかのちょっとしたタイミングで突然の豪雨に見舞われるなど予期せぬ流れに、来場者はもちろん、出演者やスタッフもなかなか苦労が絶えなかったのではないだろうか。
そんな中、大道芸人『ブンブク』の子供達を惹きつける魅力はかけがえのないものであった。ひとつひとつのパフォーマンスに群がる子供たちのそのリアクションは愛しく尊い瞬間であった。あの子供達の見開いたまっすぐな目。あの表情に救われて、あの顔を見るためにっていう感情は大切にしたいし、このイベントにおいて何より大きなモチベーションになっていることだろう。
これまで色々のフェスに行く機会があったけど、なかなかここまで子供達が主役なフェスは少ないし、ここまでうだるような自然の暑さを感じることも少ない。それ故にスタッフや出店者の方達なんかも様々な工夫を凝らして、子供達と向き合い、この灼熱と闘っていたと思う。そんな環境下で食べたかき氷は身体に響いたし、沁みたね。
すべて隈なく見ることはできなかったけど、良さそうなお店もたくさんあったなぁ~…
あの猛暑だとから揚げとかはあまり売れなかったかなぁ~… なんていらぬ心配をしながら、webの出店リストを再び見直すなんていう斜めからの楽しみ方を今はしている。(http://www.rainbowchild2020.com/2018shop-list)
あのから揚げは機会があればどこかで食べたいなぁ~…。
イベントは一日して成らず、開催期間は一日でも、様々な関わりや準備に費やす時間を要し、終わった後は確かな記憶としてみんなそれぞれに刻まれる。
懐かしい一枚の風景画のように脳裏に浮かぶ情景。
奏で描く素晴らしいライブ。
水浴び上等とばかりに豪雨でも運動量を増していく子供たち。
レトロとモダンが交差した蘇水公園の優れた環境。
『Rainbow CHILD 2020』
まだまだ、発展途上なイベントかも知れないけど、課題と手応えをエネルギーに替え、これからさらに独自の表現を続けて行って欲しいと切に願う。
この日、厳しい天候でも決して遊ぶ事をやめなかった子供たちの姿に本能ともいえる子供らしさを感じたし、猛暑にヘタれ、豪雨にためらいながらも、踊るのをやめなかった大人たちのその姿に楽しむという事が持つ生命力と人間らしさを感じる事ができた。
そして、時代が流れていく中で真っ向から平和を感じ、平和を目指し、平和を継承しようとしている者達が多く集う真夏の一日であったという事もしっかり記憶に刻んでおこう。
『RAINBOW CHILD 2020』
【日程】
2018年8月12日(日)
OPEN 9:00 ~ CLOSE 21:00
【会場】
八百津町 蘇水公園
(岐阜県加茂郡八百津町伊岐津志2731-5)
【出演】
UNCHAIN
ellmer
OBRIGARRD
かむあそうトライブス
工藤真工
SAIRU
The Novelestilo
Dachambo
つしまみれ
寺尾紗穂
DELI
TOMI-E
bird
ハンサム判治
ブンブク
Makoto Okazaki
MADKID
yanafro
横川圭希
Rickie-G
RINO LATINA II
TOSHI蝮
KING BROTHERS
わかないづみ
■ マリンスポーツ、サッカー、アートの無料ワークショップ、全国から集る約80店舗の出店、マルシェなど
【主催】
RAINBOW CHILD 2020実行委員会
【共催】
八百津町
【後援】
八百津町観光協会 / 美濃加茂市
【協力】
公益財団法人マリンスポーツ財団 / Toy-Factory/ ヤイリギター / どさフェス
【RAINBOW CHILD 2020 Official Website】
http://www.rainbowchild2020.com/