フジロックフェスティバル2018 5つの印象的な瞬間
今年で22回目を迎えたフジロックフェスティバル。2011年にA-FILESウェブマガジンのフジロックフェスイベントレポートが始まってからもう7回のレポートを掲載し、振り返って記事を見てみると、あの時の天気の様子や、さまざまなトラブル、感動的な瞬間、激しい雨に打たれて弱音を吐いていた夜、数えきれない思い出が蘇ってきます。3日間という毎年決まった枠の中で、まだまだ見た事のない数えきれない表情を持つのがフジロック。
ここ苗場には、深~い奥の方で未知の世界がまだまだ存在するのです。今年は少し趣向を変えて、違った角度からこのフジロックフェスティバル2018を冒険して参りました!
1 ピラミッドガーデンで昼間はまったりと
例年であれば、初日の頭からしっかりとバンドをチェックし、そのままの勢いで立て続けにバンドを見る為に苗場を右往左往するわけですが、今年はかなりのスロースタート。
まずは、今年限定でグラストンベリー・フェスティバルからやってくる大人の移動遊園地「アンフェアグランド」をチェックしに苗場の奥地、旧オレンジコートエリアへ。このエリアで後に何かが起きそうな予感がしつつ、グリーンステージへ戻るボードウォークの入り口付近でまさかの蜂に刺されるというハプニング!かなり大きな蜂でパニックに陥りましたが、救護室での適切な処置でなんとか乗り切れました。みなさん、蜂には注意!
そんなハプニングのせいか否や、旧オレンジコートとは全く真逆のピラミッドガーデンへ。ハンバート ハンバートの講演が終わった後のそこは、人も20人程度で、日本最大級の野外フェスとは思えない程の静けさ。ピラミッドの位置が移動したりと、多少の変化はあるものの、相変わらずここの空気感は非現実的で時代錯誤で無国籍。滞在する側の心に合わせてくれる最高のロケーションなのです。2018年フジロックはスローなスタート。後の体力温存にも効果抜群でした!
2 今年のベストアクトは初日のホワイトステージ「ODESZA」で決まり!
これだけのバンド数、アーティストが出演していると、当然すべてを見るのは不可能なわけですね。限られた時間の中でステージの移動時間を考慮しながら、時には好きなアーティストを断念しなければなりません。今年も三日間を通して多くの新しいアーティストに出会いました。事前リサーチはほんの触りだけでほとんどしません。しなくてもほとんどの確率で音楽を堪能出来るのがフジロックだからです。どうしても見たいバンドを中心に
動く。その先に新たな出会いを求めているのです。
そんな中、ちょうど移動途中に出会ったのがこのアメリカはシアトル発の「ODESZA」。プロデューサーが結成したダンス・エレクトロニックユニット。最近こういうプロデューサー発信のアーティストが増えていることもあって、興味は凄くあったのですが、、、正直ぶっ飛びました!まるでSF映画を野外特大スクリーンで見ているかのようなオープニングで、心と体が完全に固まり徐々に痺れ始め、全身を駆け巡る低音を感じた瞬間、痺れが解放。その後は、身体を音に委ねる音の奴隷と化した、最高級に心地良い時間を体験するのでした。パフォーマンス、音質、楽曲、エネルギー、これらをバランス良くコントロール出来るのはプロデューサーだから成せる技?何度でも見たいアーティストです。
3.散りばめられた数々のアートピース
ここ苗場を訪れる人達の中で、どれだけの人がアートという視点でこのイベントを楽しんでいるかは分かりませんが、フジロックの母体とも言える、グラストンベリー・フェスティバルは、実は "Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts"が正式名称。すなわち、グラストンベリーは一般的にイメージされている大規模野外ロックフェスティバルとは違い、コンテンポラリーパフォーミングアートフェスティバルなわけです。音楽はあくまでもアートの一環。フェス全体がアートピースの塊で、それぞれの持ち場で数えきれないアーティストが作品を創り、デコレーションしてるわけですね。規模感は違えど、ここ苗場も同じです。開催のずっと前から仕込みをし、1週間位前には会場入り。バンドマンが何度も何度もリハーサルを重ね本番に臨むのと同様、アートサイドもかなりの年月をかけて作り込んでいるんですよね。そう思うと、毎年見かける、苗場の森にヒョイっと潜む「マッドバニー」、涼しげな川の中でオヨオヨしている「ゴンちゃん」、オアシスでの盆踊りの象徴「お盆タワー」、グリーンステージからホワイトステージへ抜ける林道の光のデコレーションだって、全てが愛おしくなります。何気なくある小さな景色。そんなアートピースが毎年このイベントを支え、なくてはならない存在なのです。
4. 朝まで夜遊び!苗場のオールナイト
都会でのそれとは違い、解放的な自然の中での夜遊びは大好物であります。ただ、昼間の日程がびっしり詰まっているとさすがに夜遊びもせいぜい2時3時まで。毎年力尽きるようにホテルへと戻って行くのですが、今年は昼の取材をセーブし夜遊びに専念。目指せ朝まで!をテーマにオアシスエリアとTHE PALACE OF WONDERエリアを右往左往しました。
思えば、初日の夜遊びは、少し早めのスタート。ベストアクトと称した「ODESZA」からはじまり、グリーンステージの「N.E.R.D」、クリスタルパレスの「THE FISHBONE SOUND CLASH!!! DR MADD VIBE MEETS PHD FISH」、レッドマーキュリーの「HVOB」。合間でオアシスのフードをたんまりと堪能し、THE PALACE OF WONDERの「MARTINEZ FAMILY WITH JOSSELIO」によるサーカスでヒヤヒヤし、その裏のシークレットバーでチャリティー日本酒をたらふく堪能しながら友達と談笑。新たな出会いなどもあり、お酒も進み、音が恋しくなったらパレスの中へ。都会で夜遊びをする内容とほとんど同じであるのに、この安心感と冒険感はなんだろうか。自然の中での解放感っていう理由だけではなく、その自然と調和したライティングやデコレーションのサイケデリックな空間と、どの時間帯に音を聴きに行っても必ず酔心出来るという絶対的な信頼感なのであろう。あっという間に時間が経ち朝日を浴びていました。
5, 「SKRILLEX」+「YOSHIKI」の衝撃的なサプライズ
2018年フジロックフェスティバルの印象的な瞬間を語る上で、この「SKRILLEX」+「YOSHIKI」は外せません。そもそもグリーンステージのトリを務めても良いくらいの人気度とスター性を持つ「SKRILLEX」。爆発的で圧倒的なデジタルサウンドで、身体が分解するのではないかって位の重低音とスピード感のあるエレクトロダンスミュージックでオーディエンスを終始バウンスさせ、グリーンステージが巨大な野外クラブ空間と化していた。
その「SKRILLEX」に「YOSHIKI」がフューチャリングするという噂が流れたのが前日の事で、その噂は一気に苗場中に広がり、一体いつどこでYOSHIKI様が現れるのか、とソワソワしていた人も多かったはず。「SKRILLEX」の公演が終わり、結局ガゼネタだったのかと諦めてたその時、「YOSHIKI」の象徴でもあるクリスタルドラムとクリスタルピアノが暗闇のステージの中でセットされ、本人が登場。最前列から5列目位のところにいたのですが、バッドマンやスーパーマンのようなスーパーヒーローがステージに立っているような存在感。この異色とも言えるコラボレーションは、フジロックフェスティバル史上最大級のサプライズとなったのではないでしょうか!
FUJI ROCK FESTIVAL ’18 REPORT
■ フジロックフェスティバル2018 5つの印象的な瞬間■ UNFAIRGROUND ~REPORT~
■ ROOKIE A GO GO ~REPORT~
FUJI ROCK FESTIVAL ’18 場内PHOTO
~フジロック フォトギャラリー~ (photo by kenji nishida)FUJI ROCK FESTIVAL ’18 LIVE PHOTO
| ODESZA | N.E.R.D | THE FISHBONE SOUND CLASH!!! | HVOB | DAITO MANABE | Ichiro Yamaguchi | ASTRO BLACK | JON HOPKINS | PEGGY GOU | TAKKYU ISHINO | CARIBBEAN DANDY | JOHNNY MARR |ASH | MGMT | SKRILLEX (Guest:YOSHIKI) | HIFANA | CHVRCHES | VAMPIRE WEEKEND | PAIONIA | 東京塩麹 | ANYO | RiL | GLARE SOUNDS PROJECTION | THE RODEOS |photo by kenji nishida