Profile of |FUJI ROCK FESTIVAL|
~2017年フジロックフェスティバル初日~
昨年、20周年という大きな節目を迎え今年で21年目に突入したフジロックフェスティバル。個人的な参加歴は、1997年の天神山の第1回目と2011年~今年の2017年の計8回。改めて振り返るとあっという間な気がします。もちろん、全て記憶にあるわけでは無く、断片的にはっきりと覚えていたり、なんとなく全体的にぼんやり覚えていたり、色々な思い出となって記憶のどこかにしまわれているわけですが、鮮明に覚えている場面のほとんどは大雨に見たナインインチネイルズや、肌がジリジリと焦げるようなカンカン照りの日に見たタートルアイランドなど、こういう野外フェスでは天候と音楽はかなり強い関係性を持つわけです。
そして今年の天候はというと。
雨雨曇雨曇曇雨。
八代亜紀の歌が何度も頭の中で流れる位終始雨のち曇りの苗場。
ここ数年、苗場ではあまり大きな雨に出くわした記憶がないため、ここ最近フジロックに参加し始めた人達は雨対策に戸惑ったかもしれません。サンダルの人も多くいました。
東京から大自然へ脱出し、更には傘もささずに雨に打たれるシチュエーションは、個人的にはむしろ好きです。年に一回雷だろうと大雨だろうとカンカン照りだろうと、その天候に合わせて楽しむ準備は既に出来ておりますから!
~無知識・無情報でアーティストを楽しむ~
今年のラインナップを見た時、正直、聴いた事、もしくは聞いた事のあるアーティストの数が例年より少なく感じました。最近だとYOUTUBEなどその他SNSで事前チェックが可能ですが、敢えてそういう調査はしません。プロフィールだけ見て取材アーティストを申請。当日まで『どんなライブが見れるかな?』というドキドキを楽しむわけです。
フジロックを立ち回るのに結構重要になるのが最初に見るバンド。と毎年言っているような気がしますが、結果的に毎年安定して楽しく過ごせているのでそんな事は全くないという事に気が付きました。が、今年のホワイトステージの一発目、スカ・ルンバ・クンビア・バルカン・パンク・レゲエを自由にフュージョンさせたスペイン出身のバンド「DOCTOR PRATS」の明るく軽快なライブにより3日間のエネルギーを完全貯蓄出来たのは確実です。トラディッショナルなレベルミュージック・メスティソ音楽に時より見せるエレクトロな現代風要素が見え隠れする彼らの音楽性に一目惚。一発目からホワイトステージは物凄い盛り上がりを見せていました。
移動の為、彼らの後半戦はボードウォークにて。実は、この時間が結構お気に入り。少し遠め左後方から聴こえるライブの音と右側から聴こえる川の音。そこに前後の人の会話が加わり独特なボードウォーク空間を味わえます。少し渋滞が始まる頃に現れた木道亭。国際舞台でも活躍しているシンガーソングライター「Rei」待ちで多くの人で賑わっておりました。ファンキーでリズミカルなギターを弾きながら個性的な声で歌うRei。もっと大きなステージで見ても、これだけの距離感でライブが出来るアーティストなのでしょう。そのあとに、アバロンで観た湘南生まれ、南カリフォルニア育ちの「Michael Kaneko」も同様。インターナショナルな才能ある日本人アーティストが増え、物凄くクオリティーの高いライブを披露。こういう自分にとっての新しいアーティストに出会えるのがフジロックの醍醐味です。
~雨の回避はオレンジカフェで~
アバロンからはホワイトステージでライブ終盤かと思われる「TRAIN」の名曲がうっすらと聴こえ贅沢な時間を過ごしながらも、これ位から雨が再びポツポツと。オレンジカフェへ雨回避。こういう時の屋根付き会場は物凄く助かりますね。グランドがドロドロになる位の激しい雨が降り始め、雨宿りをしながら人間観察。そもそもこのオレンジカフェが設置されたのが昨年から。昨年は雨があまり降らなかったので、使用機会はあまりありませんでしたが、今年は三日間通してかなりお世話になりましたね。
ここ苗場で雨宿りが出来る大きな会場はレッドマーキーとここオレンジカフェの2か所。小さな雨宿りポイントは多々ありますが、このオレンジの存在はかなり安心出来ます。Cafe’ de Paris(カフェドパリ)での「Declan O’Donovan(デクラン・オドノヴァン)」を観る頃には雨も少し落ち着き、室内のカフェドパリで思ったより湿気を感じなかったのは、デクラン・オドノヴァンの人々を惹きつける美声のせいなのかな?と思いながらウットリ聴き入っていました。湿った苗場の空気と完全にマッチしたバンドサウンド。後半戦への元気をたっぷりと頂きました。お、また激し目の雨か。むしろどのレベルが雨合羽を着るレベルの雨なのかもう分からなくなってきました、、、
~90年代音楽のすばらしさの再認識~
今年のフジロックフェスティバルの個人的な裏テーマとしてあった「90年代の日本の音楽」。2日目以降でも幾つかのアーティストを観る事が出来ますが、その1発目がこのレッドマーキーでの90年代ヒップホップ代表「スチャダラパー」。もう少し早めに行くべきであった、、会場内はパンパンもパンパン。ドンドン後ろから人が前へすり抜け、すり抜ける余裕も無くなり始め押し問答。まだフェスも浸透していなかった90年代に大活躍をしたアーティストが、こうして2017年でも最前線で発信しているという事実は、一緒に時代を共有しているファンからしてもとてもうれしい事。そして小沢健二なしの「今夜はブギー・バッグ」。これは明日、期待してしまっていいんですよね?いいんですよね?何度も心の中で呟いた。
~中毒性のあるイギリス音楽~
「The xx」を見にグリーンステージへ行く頃には、正直もう天候などはどうでも良くて、むしろステージから放たれるライティング色した雨が幻想的なデコレーションとなり、完璧な位にこのThe xxの音とビジュアルとマッチしていたものだから、自分の中でのベストポジションを見つけてしばしの間立ち尽くし傍観。正直あまりバンドから熱量を感じない。でも引き込まれ続けるこの不思議な感じ。ある意味中毒性のある音楽。そして余韻がライブ後も雨の音とと共に続く。その余韻のまま気が付いたらグリーンステージのトリである「GORILLAZ」が登場。アニメーションバンドがコンセプトとしてスタートしたこのバンドも今や顔を曝け出し、VJによるアニメーションによりGORILLAZのビジュアルをしっかりと表現。意外とロックで意外とファンキー。意外とダンサブルで意外とポップ。そうか。これが極上ポップなのであろう。その場にいる者すべてを楽しませる要素が詰まった遊園地のようなバンド。イギリス音楽のジワジワ心と細胞に浸透してくるこの感じ。好きです。
~薬草のようなバンド「WESTERN CARAVAN」~
不可解なタイトルですが、音による余韻続きの1日から目が覚めるには何かしらの形で処方箋が必要。
爆音は聴きたくない。
特にお酒も飲みたくない。
あまり歩きたくない。
小腹が空いた。
友達と会話はしたい。
混雑は嫌。
ただのワガママ親父みたいですが、、、現実的にそんな時ありません?好きなバンドで丸1日中熱狂するのがフェスってわけではない。1日動き回ってればダウンな瞬間だってありますって。そんな時に出会ったのが「苗場食堂」で軽快なカントリーベースの音を奏でる「WESTERN CARAVAN」。軽快なフィドルが癒しとなり、栄養となり、魔法にかかったような1日の余韻を明日への元気に変えてくれました。遊び足りなければ夜遊びへ。遊び足りてればそのまま睡眠へ。初日は十分遊び足りたので就寝へ。寝る前のこの日初のビールが旨かったな、しかし。
つづく…
photo by kenji nishida