「アートを身近な存在に」。そんな信念と意思の元に、昨年第一回目が開催され大盛況に終わった「TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR」。第二回目となる今年も、場所を東京・表参道ヒルズに移し、約150名以上のアーティストやギャラリーが言語や文化の垣根を越えて集結。開催直前に、主催者であるMaruhashi氏にお話を伺いました。
アートをより身近に感じる事が出来るかもしれません。
Satoshi Maruhashi (TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR) インタビュー
—–現在、銀座のTOKYU PLAZAのFIND JAPAN MARKETでショップをオープンしていますが、どんな作品を扱っているんですか?
今の日本の現状、絵の原画が売れるっていう事がなかなか定着していなくて難しい部分があると思うんですね。そういう状況に対してアートが売れる環境を作りたいなっていうのが根本にあって、アートピースとアーティスト自らが創っているアート作品やプロダクトに限定して絞って販売しているお店なんです。
—–どんな作品が注目を浴びていますか?
僕の仲間に骨董を扱ってる集団がいるんですけど彼らは、「骨董も現代アートの一部なんじゃないか」という事を提案していこうとしているんですね。そういう部分で僕も意気投合しまして骨董品を置いたら結構みんな見てくれるし買ってくれます。
—–お店のコンセプト的な部分はありますか?
銀座っていう場所もあって一般の人も大勢来るので、「カッコイイ事をやろう」、「コアな事をやろう」とかそういう事では無くて、「アートを身近な物に」っていうのがメインのコンセプトなんですね。その中で自分達のハードルを設定して、『これよりもクオリティーの低いの作品は売りたくない』などをしっかりと考えながら売るものは選んでますね。だいたい8千円から2万円位のアートピースとかってギャラリーで考えるとなかなか置ける値段設定じゃないんですけど、ファーストステップとしてそういう少し安価な作品が売れるような、かといって趣味の延長で制作した作品では無い無名でもクオリティーの高いアーティストの作品を置きたいっていうのがありますね。
—–客層などはどんな方が多いんですか?このフロアーのコンセプトを考えると外国人も多そうですよね?
多いとは思うんですけど、思った程では無い印象ですね。銀座っていう土地柄もう少しお金を持っているような、いわゆるセレブな層が多いかなとも思ったんですけど、そういうわけでも無くて、僕がキュレーションした作品の物の本質をしっかりと見てくれる方が多い感じがします。色々なお店が他にも出店しているしその流れで、『あ、こんなお店もあるんだ』って立ち寄ってくれる嬉しい誤算もありつつ、ファーストステップとしては成功かなっていうね。
—–色々なジャンルのショップが並ぶフロアーを歩いてて、5月13日と14日に開催される丸橋さん主催の東京インターナショナル・アートフェアに凄く近いような印象を受けました。
みんなアートに対して興味はあるんだけど、『どこに行っていいか分からない』とか、『どうしたらいいか分からない』とか、『大きな有名なイベントはアート色全開だし』っていう風になかなかアートに触れるきっかけが無かったりすると思うんですね。でも実際凄い近くで活動しているのに実はリンクしていないアーティストだったり、音楽家だったりっていうのをアートというフィルターを通して繋げていきたいなと。
—–今回で2回目ですが、場所を変えて表参道ヒルズですね?変えた理由は?
もっとメジャーなイベントにしていかないといけないなって思ってて。アングラにやってても仕方がないというか、コアなカッコイイ事をやっている仲間もたくさんいる中で、僕のモットーとして、「より多くの人に観て貰って好きか嫌いかを判断して貰う」というのがあるので、アンダーグラウンドやオーバーグラウンドの垣根を無くして見て貰うっていうのが僕の役割でもあるかなと思って。
—–窓口を広げて、人を集めてって事ですね。
そうそう。それで、『こういうのつまらない』とか、『アートって退屈』っていう判断をして貰っても良いと思うんだけど、ファッションの業界でも音楽の業界でもどんな業界にも食わず嫌い的な人たちが潜在的に多数いるっていうのが、今まで僕が色々と経験してきた中での一つの答えでもあるんです。だからその食わず嫌いな人達が少なくともこのイベントで何かに触れて感じて貰えたらって思いますね。
—–有名無名問わず一つのフロアーで見れるっていうのは凄く色々な可能性がありますよね。
ギャラリーの出展もあれば個人の出展もある。括りや垣根を一切ぶち壊して見せる事で今まで見た事の無い作品に触れるチャンスが生まれるのかなと。あまり使いたくない言葉ではあるんですけど、「イノベーション」になるのかな。日本でアートが定着しない。だったら一回壊してみてイノベーションしないといけないのかなって。
—–音楽でいうとヒップホップもパンクもロックもジャンル関係なく開催されるイベントのように、絵画もグラフィックアートもストリートアートもすべてひっくるめてって事ですよね。
まさしくそうですね。大きな括りでの現代アートの一部。その中でもしっかりと厳選して最低限のレベルっていうのは保とうと。無名でも良い作家さんってたくさんいて。僕はこの業界が長いわけでは無いので業界人気取りはしたくないんですけど(笑)、一般的に見ると日本人って世界で一番美術館に行く人種らしいんですね。だけど絵は買わない。そこに一つの答えがあって、物の価値を決めるのって本来であれば売れてる売れてないでは無くて、自分が良いと思うか悪いと思うかなんですよね。音楽でもファッションでも同じだと思うんです。例えば「ゴッホ」だから観にいくとか、「モナリザ」だから観にいくとかある意味押し付けられた評価があるモノにしか足を運ばないで、後は何処に行っていいか分からないし、何を観に行っていいのかも分からないっていう文化や風潮が日本には凄くあると思うんですね。そこを壊したい。その為にはコアにやってても仕方が無いし、歩み寄って行かないといけないのかなって思ってやってます。
—–僕も含めてなんですけど、ほとんどの人がアートの種類とかジャンルってあまり分かっていないように思うんですね。ただただ電車のつり革の宣伝広告を見て誘導されるように美術を観に行く。そこからはあまり広がらない。今回のアートフェアみたいに大きな箱を用意して、とりあえず行って見て箱の中身を体感するっていう図式は凄く広がりが出ると思います。
是非広がって少しでも価値観が変わってくれたら嬉しいです。あるアートを紹介して良く言われるのが、「その作家さんは有名なの?」とか「売れてるの?」っていうのが凄く多いんです。後は値段が高いと有名なアーティストだと思われてしまうとか。そういう価値観ってとんでも無く残念。
—–確かにそうですね。。しかも多くの海外アーティストも観る機会がありますしね。このイベントの特徴の一つでもありますよね?
元々のアートフェアーのメインがヨーロッパにあって、ヨーロッパからアメリカから1年を通して5~6回開催されているんですね。そのネットワークを使えているっていうのは凄く有難いし面白いとは思いますよね。アートフェアーっていう看板がある事で、さっきも言ったように窓口が広がるし、アートイベントとして説得力が増すわけです。
—–ちなみに昨年の第一回目はどんな印象でしたか?
思ったより人が凄く来たと思うし、イベント自体みんな凄く楽しんでくれたと思うから大成功だったと思います。後は、もっと絵が売れるようになってくれればアーティストにも還元出来るわけで。そういう意味では更により多くの人に来て欲しいし、メジャーにしないといけないと思うから今回表参道ヒルズにしました。例えば横浜とか幕張とかそういう大きな所で開催すると本質からずれてしまう。この世界都市東京のド真ん中の表参道で開催するって事に意味があるんです。
—–東京の中でも表参道っていうのも何か拘りがありますか?
どうやったらアートが身近になって、どういう人達がアートに興味を持ってくれるかって考えた時に、ファッションとかインテリアとか家具とかそういうのに興味がある人達や拘りを持って生活している人達にフォーカスする事が大事なんだろうなと。そうしたら表参道っていう土地は凄く理想に近いし、またこの先の事を考えたらそういう表参道で買い物する人達や活動する人達を巻き込んで行けたらいいんじゃないかなって僕なりに考えた結果ですね。
—–確かにアートってそういうインテリアや家具や生活の延長上にありますよね。
実際日本でなかなか定着しないのは住宅の事情もあると思いますけどね。
—–なるほど。というのは?
賃貸壁に穴が開けれないとか、傷を付けれないとかそういう事も大きな理由の一つだと思うんですね。写真を貼るにしてもコルクボードを買って来て壁に建て掛けるとかしか出来ないわけじゃないですか?でもなんか昔僕が高校生位の頃って、海外の雑誌切り抜いて壁に貼ったり、アイドルのポスターを貼ってみたり、誰でもやってたんですよね。でも今は賃貸住宅の事情で、現状復帰しないといけないみたいなルールがあって。毎日返す時の事を考えて生活しないといけない。それって凄くネガティブだと思うし、寂しいなって思いますよね。
—–確かに!たまにアメリカ映画みたいに壁をぶち壊したり、色を塗ったりしてみたい衝動に駆られます(笑)。
そうでしょ?(笑)でも時代の流れもやっと変わってきて、リノベーション物件とかもどんどん増えて来たから今後少しは変わっていくとは思うんですけどね。生活の中に音楽が無いのが考えられないのと一緒で、生活にアートはあるべきだし、もっと敷居が低くなるべきだと思もう。
—–生活に制限があればあるほど、アートやカルチャーに制限が増えるのかもしれません。
みんな子供の時に絵は描いてたわけで、それは体に染みこんでたはずなんですよね。だから住宅環境が変わればアートに対する環境も変わって行くかもしれないとは思いますね。
—–確かにそうですね。それでは、いよいよアートフェアーの開催が迫っていますが、最後に読者にメッセージをお願いします。
まだバタバタと色々と構成して仕込んでいますので、どうなるかは来てからのお楽しみで。それと、美術館に行ってアートを観る感覚とは違って、レセプションにはお酒を用意してありますので、アートをつまみにお酒を飲んで会話などを楽しんで頂きたいですね。
—–確かに去年はシャンパンをたくさん頂いていい感じに酔ってアーティストとも話が出来て新たな出会いがありました。そういうのって凄く重要ですよね。
そういうみんなに楽しんで貰いたいっていうのが根本にあるパーティーですので、是非たくさんの人に遊びに来て欲しいですね。
TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR 2016
現代アートの最前線に触れるチャンス「TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR 2016」5月13日(金)と14日(土)に表参道ヒルズで開催。
現代アートの国際的なプラットフォーム、グローバルアートエージェンシー(The GAA Ltd. 本部:イギリス)主催による、「TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR 2016」が 5月13日(金)と 14日(土)に開催。東京・表参道ヒルズに 約150名以上のアーティストやギャラリーが言語や文化の垣根を越えて集まります。
5月13日(金)には、招待者およびチケット購入者が参加できるレセプションパーティーを開きます。翌日 14日(土) は、どなたでも無料でご入場していただき、作品の展示・販売、アートショーを開催。また18時より「Global Art Award」授賞式を執り行う予定です。
【会場】
表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
東京都渋谷区神宮前4-12- 10
<レセプションパーティー>
【日時】
2016年5月13日(金)午後6時~午後9時
【内容】
シャンパンレセプション、ライブペインティング、アートショー
* ご入場は、招待者およびチケット購入者のみです
* チケット販売:http://www.tokyoartfair.com/
<一般展示およびアワード授賞式>
【日時】2016年5月14日(土)午前 11時〜午後 7時(入場無料)
【内容】
作品の展示・販売、アートショー、Global Art Award授賞式
【主な参加アーティスト】
ローラ・ジョーダン(イギリス)
キャナル・チェンジャルー(フィンランド)
セヴェラナ・シンテスヴァ(ベルギー)
ハイヤット・セイジ(モロッコ)
ソフィア・シアン(ロシア)
リ・ウェイ・チェン(台湾)
風ギャラリー(日本)
マーク・ジェームスフォード(ドイツ)
ロリーン・コルブレナー(アメリカ)
スージー・ファデルナッシフ(アラブ)
トーマス・ジョンテイラー(アメリカ)
ショーン・ボーデン(オーストラリア)
ミスター・ブレインウォッシュ(フランス)
ニューヨークギャラリー(日本)
クリスタル&グラムアートギャラリー(日本)ほか
公式サイト
http://www.tokyoartfair.com/
公式facebookページ
https://www.facebook.com/tokyoartfair
■ 世界主要都市で開催される「INTERNATIONAL ART FAIR」が日本に再上陸
「TOKYO INTERNATIONAL ART FAIR」は、欧州・アジア・北米・アフリカなどの地域の30カ国を越える国々から選ばれた、約150名以上のアーティストやギャラリーが、言語や文化の垣根を越えて集結する国際的な現代アートのイベントです。
昨年は 原宿クエストホールに二日間で6,000人近くの来場者が集まり、各国のアーティストたちと日本の皆さんが一緒になって、現代アートを盛り上げました。今年は、会場を表参道ヒルズ「スペース オー」に移して、さらにバージョンアップ!出展者とGAAのスタッフが、最高の 2日間を実現するために準備を進めています。
■ アーティストと出会い、現代アートのライブ感を楽しむ 2日間
日本では各地の美術館で、印象派の作品を集めた展覧会や、ルネサンス期など年代を切り取ったイベントが行われています。これらの展覧会に代表されるように、これまで一般の方々にとって、アートとは「額に収めた作品を鑑賞する」といった印象が強かったのではないでしょうか。
しかし、現代アートは私たちと共に「今を生きる」作家が表現している、現在進行形の芸術です。当フェアの最大の魅力は、多彩なアートを鑑賞するだけでなく、作品を生み出したアーティストたちと直接会話しながら、手頃な値段で作品を購入することができる楽しみにあります。
また、当日はアーティストだけでなくギャラリーも参加しています。明確なコンセプトを持って、新鋭アーティストのために作品発表の場を提供している方々とも出会えるチャンスです。現代アートの最前線に立つ作家を応援したい方、日本から世界に向けて旅立つ準備をしているアーティストのタマゴの方、皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
■ 現代のアンディ・ウォーホル? 米国らしい作風のシェーン・ボーデンも来日
今年の参加アーティストには世界中が注目する新進気鋭のアーティストはもちろん、昨年の当フェアに価格4,700万円の原画を出品し大きな話題となったMr. Brainwash(ミスター・ブレインウォッシュ)や、「ステロイド注入されたアンディ・ウォーホル」と称されるShane Bowden(シェーン・ボーデン)、「コラージュ技法」を独自に発展させ、絵画作品として豪華なコラージュを施した「ラグジュアリー・アート」を確立させたDaniele Donde(ダニエル・ドンデ)など、現代アートのスーパースターたちも名を連ねています。
当日は、現代アートを生で体感していただくために、絵画・彫刻・写真・イラスト・ジュエリーといった作品の展示・販売に加え、ライブペインティングやミュージックショーなども開催いたします。
【グローバルアートエージェンシーについて】
グローバルアートエージェンシーは、2010年にイギリスで設立された国際的なアート団体です。
イギリス、スペインやオランダなど欧州はじめ各国で「インターナショナルアートフェア」を主催。
アートブックの出版や、チャリティオークションなど、芸術のプロモーション活動を行っています。