Profile of |CHRONOMETER|
90年代のパンク・ハードコアシーンがDNAに染み込んだ元BENTROOTのメンバーを中心にして結成されたデジタルハードコアバンドCHRONOMETERが、昨年末に初音源をリリース。10年という長い期間試行錯誤され、満を持して完成したアルバムについて、ボーカルでありバンドリーダーでもあるYu氏にお話しを伺いました。
Yu (CHRONOMETER)インタビュー
—–まずはバンド結成のいきさつを教えて貰えますか?
結成は2005年とかだったかな?自分がやってるブランドのVIRGOと同じ位で、もう何気に10年位経つ。最初は前のバンドのBENTROOTのメンバーと昔からの仲間と一緒にやり始めて、割とBENTROOTの延長っぽくてもっとアナログなバンドだったんだけど、当時はめっちゃ最新なサウンドと思ってやってた(笑)。
—–実際は違ったと(笑)。打ち込みは入っていたんですよね?
ないない(笑)。打ち込みとか分からなかったし、ただデジタルっぽいのは入れて行こうぜ!みたいな話になってて、ちょいちょい色んな機材とか入れたんだけど『ウィーーーン』とか程度で、それだけで本人達は凄いデジタル気分(笑)。でもファーストのデモとか聴くとただのアナログなバンドっていう(笑)。
—–BENTROOTが終わってからどれ位期間は空いたんですか?
2~3年位かな。その間に今のメレンゲのドラムと俺がベース・ボーカルをやってた謎のエモコアみたいなバンドをやったりはしたんだけど、そのバンドは1年間位リハ入ってプリプロして終わりみたいな。音源も出さずにライブもやらずに終わった(笑)。
—–BENTROOTは割とパンク・ハードコア路線だったんですけど、なぜそういうデジタルな音に興味を持ったのですか?
最初あんまりそういう打ち込み系とかクラブ系ってあんまり好きじゃなかったんだけど、結構ロック好きな人って最初そうじゃない?でもその時働いてた服屋さんが四つ打ちをバンバンかけてる店で。
—–そうですね。ロックのまま突き進む人と、打ち込み系にはまる人といますよね。
最初は嫌だなーって思ってたんだけど、聴かされてる内に段々好きになっていって。打ち込みっていうジャンルの中でも特にドラムンベースってなんか凄い攻撃性があって不良だなって思ってたんだよね(笑)。それである日、ドラムンベースにボーカルが乗った曲が流れてて『なんか聴き覚えある声だな』って思って聴いてたらそれがRage Against MachineのボーカルのザックがフューチャーリングでやってたドラムンベースバンドのRoni Sizeだったのね。それが無茶苦茶かっこ良くて。で、たまたまそれ位の時期にex GRUBBY /ex ALL LIVING TNINGSのギターのヤマさんがアブストラクトな打ち込みにはまってトラック作ったりしてるって言ってて、『なんかあったら一緒にやりたいねー』みたいな話はしてたのね。それと平行してクロノメーターはやってたんだけど、その時のギターが他界しちゃって。。。
そこでヤマさんがギターを手伝ってくれる事になって、結局そのままヤマさんが打ち込み担当になって、ドラムが変わったりして、やっと今っぽい打ち込みと同期を取り入れるような感じになったのかな。それが2007年位。
—–10年の間に色々とバンドの形態が移り変わっていますが、今の最終ラインナップになったのはいつ頃なんですか?
ギターが変わったりで、なんだかんだで2年弱かな。3人でやってた頃もあったんだよね。ヤマさんがウッドベースと打ち込みをやって、俺がシンセとボーカルやって、ドラムがいてって。その頃は割りとツアー行ったりとかして活動は頻繁にしてたかな。
—–ウッドベースと打ち込みって凄く斬新ですね(笑)。
面白いでしょ?(笑)でも結局みんな忙しくなっていって、メンバーが抜けたりして、最終的にはヤマさんも今は休んでるし、みんなそれぞれ生活があるからね。時間が出来たらまたやりたいよねって言う話はしてるんだけどね。
—–今のメンバーを紹介して頂けますか?
ギターのDAISUKEはMIXMARKETっていう女の子ボーカルのバンドやってて、たまたま家が近くて、FACEBOOKか何か見た時に結構ギターの事を投稿してたから、『あ、凄いギター好きなんだ』って思って声をかけた (笑)
ベースのゴッサンはBENTROOTの結成メンバー。打ち込みがdie!!die!!color!!!ってバンドをやってたシゲって奴で対バンとかしてる中で仲良くなって加入。
で、レコーディングの時のドラムが最近抜けちゃったからメレンゲってバンドのドラムが準メンバーでやって貰ってる感じ。
—–メンバーチェンジはやっぱり大変ですよね?
まあね、でも大人の都合があるからね(笑)。
みんなそれぞれ色んな理由があると思うんだよね。バンドを続けていく理由も、辞める理由もあると思うから。その辺りは追わずって感じかな。
—–この10年の間、自分達的にはどういうペースで活動してたって感じていますか?
諸にマイペースだよね(笑)。リリースもしたいけどしないで、ライブもちょこちょこやって、リハはしっかり毎週入ろうって思っててもなかなか入れない時期もあったり。月に一回7時間入るとかね。
—–なかなかメンバーのスケジュールを合わせるのも難しいですしね。
仕事や家庭もあるからね。それでその内誰かが折れたりするじゃない?でも俺は音楽活動はマイペースでも続けて行きたいっていうのはずっとあったから。
—–そもそもバンドを始めたきっかけというのは?
覚えてないけど、多分、女子にもてたいからでしょ(笑)。一番最初はギターを通信販売で買ってタブ譜が読めなくて諦めて。次に弦が少ないから出来るんじゃねーかっていう理由でベースを買ってPERSONZとかBOOWYをコピーして学校のロッカーの上で弾いたりしたんだけどエレベだったから聞こえなくて誰にも褒められずつまらなくなって辞めて(笑)。
それ位からドラムをやり始めてBENTROOTを始めた19歳位までドラムをやってた。
—–結構色々な楽器に手を出したんですね(笑)。
高校の頃やってたバンドは今のSOBUTのYOSHIKIがボーカルで俺がドラムだったからね(笑)。凄い仲が悪かったけど(笑)。
—–お互いアクが強いですからね(笑)。
そうだね(笑)
—–ただただ…凄いですよね(笑)。ちょっと話が反れましたが(笑)、10年活動してきて昨年12月に出したアルバムが初音源なんですか?
正式な全国流通みたいなのは今回が初めて。だから本当に新人バンドなの(笑)。
—–新人って呼びたくない新人ですよね(笑)。
だよね(笑)。扱いづらい新人バンド(笑)。でも本当にありがたいですよ。こうしてリリースが出来たって事は。
—–しかしなぜこのタイミングだったのでしょう?
2011年に仲間がRE:BIRTH STUDIOっていうのを始めて、そこで色々と融通も利くような環境だったから『リリースもライブも無くても音楽に携わってる以上は何があってもリハだけは入ろう』っていう事で毎週しっかりリハには入ってたのね(笑)。って事は2011年からスタートしたような感じになるんだけど(笑)。リリース予定も無くて、ライブが少ないとモチベーションを保つのに凄く大変だったりはしたんだけど、とりあえず続けようって事で活動はしてて。でもやっぱり周りからも『バンドやってるの?』とか聞かれるし、リハはしっかり入ってるから、『やってると言えばやってるんだけどね~』みたいな感じで(笑)。デモ音源でも良かったんだけど、そろそろ名刺代わりになる音源は欲しいなってずっと思ってたタイミングでレーベルやってる友達が手伝ってくれたり、SPACESHOWER TVの人に手伝って貰ったりで、限りなくDIYな感じだけど、全国流通に乗せて出す事が出来たんだよね。音源を出してライブが出来る環境って決して当たり前じゃないと思うし、それは凄く感謝しながら活動はしてるよね。
—–やはり音楽をやりたいと言ってもモチベーションを保つのは難しいですよね。
仕事しながらたまに日曜日にリハに入ってライブやってお酒飲んで楽しくて終わり!ってのもありだとは思うんだけど、もうちょっと突き詰めたいって言うか、僕の周りにもバンドマンは物凄く多いし、もっと活動を精力的にやってるバンドマンもいる。そういうバンドと比べたら活動の幅は限られてくるとは思うけど、何か目標を持って活動はしたいなって思うし、出来る事は最大限にやりたいかな。音楽に対する想いは一緒だと思ってるし、同じフィールドに立って活動してるっていう気持ちは凄くある。
—–ちなみに、ちょっと打ち込みなどのレコーディングの仕方などを聞きたかったのですが。
打ち込みのオケを聴きながら最初にリズムを録って、ギターとかベースとかボーカルを入れてって、最後に打ち込みを入れる感じかな。
—–曲作りの際の打ち込みの入れ方のバランスなどはどうしているんですか?
ヤマさんがいた頃は、完全に出来上がったトラックにギターとかベースとかを入れてって崩していく作業をしたりしてたんだけど、最近はギターとかベースで曲を作ってそこに打ち込みを乗せる作業もしてるし、両方のアプローチの仕方があるかな。
—–結構スタジオでジャムをしながら作る事もあるんですね?
ジャムりながら次の週には忘れてるっていう生産性の無い3時間を過ごす(笑)。
—–どこのバンドも同じなんですね(笑)。昨年リリースイベントでライブを見させて貰ったのですが、音源とはまた違ってよりバンドらしさが出ていましたね。
なんせバンドのメンバーが古いから(笑)。新しい事やってるつもりでも、やっぱり古いなって思う節があるんだけど、でもそれを今風にしてしまったら自分達らしさが無くなっちゃうと思うし、結局打ち込みをやってもバンドらしさっていうのは自然と出ちゃうのかなって思う。
—–でもそのツボを突いた古さがかっこ良いのかと。
たまに古臭いボーカルとかを抜かしてインストとかでやったりもしたいなって思ったりもするんだけど、そう言ってる本人がそもそもボーカルだしねっていう(笑)。
—–ボーカルがインストって言っちゃいましたね(笑)。
うん(笑)。でも周りの仲間のバンドは、仲間だからとか抜きにしても、売れてる売れてない関係なく純粋にみんなカッコイイと思うし、それに対してやっぱり自分達もよりカッコイイ音を表現したいなっていうジレンマは常にあるよね。服作りもそうなんだけど、ブレてても始まらないしと思うし、自分を信じるしか無いとは思うんだけどね。
—–クロノメーターみたいなテイストの打ち込みバンドってあまり日本にはいないですよね?
海外だとThe QemistsとかPENDULUM辺りになるのかな。もっと昔からだとPRODIGYとか。
—–やはり海外の影響は強いんですね。
もちろん!こういう音を作ってる以上は出来る事ならヨーロッパツアーとかにも行きたいなとは思うけどね。日本のバンドだったらそれこそGAUZEとか色んな日本のハードコアバンドは凄く衝撃だったけど、このバンドをやるに当たって影響を受けたのはほとんど洋楽だったから。でも始めて好きになった打ち込みの音がUNDER WORLDだったんだよね。割ともっとお洒落で聴き易い四つ打ち。
昔渋谷のSimoonでテクノDJとかと2ヶ月に一回イベントをやってたのね。クロノ以外はみんなテクノDJで、なんか当時は打ち込みのシーンで勝負しようって謎に突っ張ってた時期があって(笑)。
結果的には惨敗だったんだけどね(笑)。
—–それはなぜ?(笑)
打ち込みに生ドラムが入ると、そこに小さな音のづれとかがやっぱり生じるじゃない?そうするとテクノ系の人達はそこが気持ち良くないわけね。ギターも歪んでうるさいし、その頃俺もボーカルスタイルに瞑想してて、シンセを弾いてるフリをしながら歌ったり(笑)。
—–え?(笑)
まじでフリだったんだよ(笑)。一応つまみとかは触ったりはしてたんだけど(笑)。でも所詮そっちの畑じゃないし、やっぱり『動きて~』ってウズウズしてきちゃって(笑)。そんなタイミングで、BENTROOTの再結成のライブが一回だけあったんだけど、『バンドのこの感じってなんて気持ちがいいんだ!』って(笑)。そこから割りとバンドのノリって大事だなって思って今に至るというね。
—–やっぱり音も精神面もバンドの持つパワーって凄いですよね。
色々経験して、結局出来る事ってこれなんだなって思ったよねその時。常に仲間のバンドにも凄く刺激されてるし、こうやって今でも活動してるバンドってみんな凄くがんばってるバンドばかりだと思うし。ダメになってまた復活するバンドもいればずっと活動してるバンドもいるし、こうやって歳を取っていって自分の周りに残ってるバンドって、気持ちの良い人達しかいない。濃い人達ではあるけどね(笑)。
それこそ震災以降、みんな色々考え方とかも変わったと思うし、変な蟠りとか垢が落ちたっていうか。同じ志を持った仲間が集まって同じベクトルに向かってるっていうのは凄く感じる。
今後も微力を全力で継続して行こうと思います。
Photo by KOGAI、MAYA ITO、WATAROCK
リリース情報
90 年代バンドシーンの一翼を担ったBENTROOT のメンバーからなる新生デジタルハードコアバンド
その独特の世界観を持つ“ライブバンド” が待望の音源化!
都内近郊のクラブ、ライブハウスを中心に活動している デジタルハードコアバンド『CHRONOMETER』初のフルアルバム。
デジタルとの融合系バンドといえば、「THE PRODIGY」や「Pendulum」といった面々が連想されるが、CHRONOMETER 独特のメロディーラインや曲調はまさにオリジナル。
ロックファンは勿論のこと、デジタル、クラブ系のサウンドファンにも楽しめる作品となっている。
CHRONOMETER
『Construction of Destruction』
2014.12.03 Release
01.Experimental
02.In your face
03.Noize
04.Release you
05.Crisis
06.Digital boy
07.Noize remix by takafumi yamamoto
DQC-1385 ¥1,620(tax in)
VD+records
CHRONOMETER 1st ALBUM 「Construction of Destruction」TRAILER
ライブ情報
★ Low-Cal-Ball vol.59 ★
~The 11th Anniversary ~
2015/02/21(SAT)
@SHIBUYA THE GAME
OPEN/START 23:30~ALL NIGHT
Ticket ADV 2,000yen(D別) / DOOR 2,500yen(D別)
Ticket Info e+:http://eplus.jp
★BAND★
SOBUT
NUMB
CHRONOMETER
★GUEST DJ★
OHNO(FLJ)
YOSHIYA(RADIOTS/PROPA9ANDA)
★DJ★
Low-Cal-Ball CREW
(MORICAWA,KenKen,祭林竹彦,QuVota,u-)
★MC★
Nick(LxCxB CREW)
★INFO★
– SHIBUYA THE GAME –
TEL:03-5456-5038
WEB:http://www.shibuyathegame.com/
※注意※
深夜イベントの為、20歳未満入場不可!写真付き身分証明書を必ず持参してください。