Profile of |dmg|
20代前半でロンドンへ渡り、イギリスの歴史ある野外イベントであるReading and Leeds Festivalsでメインアクトを努めたFEEDERの日本人ベーシストのTAKA氏が新たなプロジェクト”dmg”を始動。そのTAKA氏に日本でのライブやバンド結成のお話しなどをお聞きしました。FEEDERのTAKA氏とはまた違った側面を見ることが出来た貴重なインタビューとなりました。
TAKA HIROSE (FEEDER/dmg) インタビュー
—–まずはdmg結成の経緯を教えて貰えますか?
LUNA SEAのINORAとMuddy Apesっていうプロジェクトを日本でやっていて、イギリスに戻った時にまだFEEDERがあまり動けてない状態だったっていうのもあってまた別な事をやりたいなって思ってたのね。でもどうせやるんだったらロックじゃない違う事をやりたいなって、昔自分で作ったデモ曲とかを聴き直したりしてて。それで、そのMuddy Apesのサポートドラムをやってた美代子ちゃんが別でニューオーリンズ系のファンクバンドを女の子だけでやってるって言ってたからその時に、『なんかあったら頼むね~』みたいな会話をしてたから頼むなら美代子ちゃんかなって思ってて。でもやりたいのはインストじゃないなって思ってたから、飲み友達でもあった春奈 鈴を誘ってデモを送ったりしてバンドになったんだよね。
—–TAKAさんはロンドン在住、メンバーは日本ですが、実際リハーサルとかは入ったりしたんですか?
2014年の1月に仕事で日本に来る機会があって、そのタイミングで2日位リハに入ったかな。その時、鈴に色々歌って貰ったりして可能性が見えてきて、そこから更に曲を作ったりデモをまた作り直したりしながら煮詰めていったんだよね。
—–その時点ではまだライブは?
まだやってない。俺が岐阜出身なんだけど、中津川でシアターブルックの佐藤タイジさんがやってるTHE SOLAR BUDOKANが9月にあったじゃない?それで1月に帰って来てた時にそこの実行委員会の人に『手伝ってくれませんか?何かで出演しませんか?』みたいな話しがあって。Muddy ApesもFEEDERも動いて無かったからこのdmgかな?って。そこから真剣にやらないとまずいぞって事で急ピッチに進んでいった(笑)。音源も今のレーベルから話が来てトントン拍子で。
—–かなり早い展開ですね(笑)。ちなみにギターレスですが、それも最初からイメージはあったんですか?
Muddy Apesは、本当は日本に戻って時間があったらパッとライブやってみたいなイメージだったんだけど意外と大変で(笑)。アメリカ、東京、イギリス、大阪でメンバーが散ってるし、INORANがあれだけ忙しいし、活動が想像と全然違ったのね。dmgはテクノロジーを使ってでもいいから出来るだけこじんまりと活動したかったんだよね。でもベースとドラムは生でガッツリ出してそれ以外は取り敢えずは入れない方向で考えてる。
—–Muddy Apesは、INORANさんとのプロジェクトだったわけですが、今回はTAKAさんのプロジェクトという捉え方なんですね?
そうだね。もちろんなんだかんだメンバーがいるから、美代子ちゃんが叩いたらとか、鈴が歌ったらってイメージした時に音とか曲も変わって行く事はたくさんあるけどね。
—–先日ライブを見させて頂いたのですが、結構色々な要素が盛り込まれてますよね。
今回は結構ロック系のイベントが多かったからカバーとかもしたし、少しロック寄りのアプローチでライブをやったんだけど、dmg中心のライブだったらもう少しクラブ寄りの音とかでも表現したいんだよね。でも音はあくまでもバンドでやりたいみたいなね。
—–そうするともう少しダンス/クラブ寄りなバンドのイメージがあるんですね?
そもそもちょっとロックから離れようと思って始めたから、ロックを避けるつもりは無いし要素的には避けれないとは思うんだけど、敢えてこうやってdmgをやるのであれば、もう少しクラブ寄りな音のイメージはある。
—–TAKAさん自身もクラブ音楽は好きなんですか?
うん。結構好きで。ロックバンドをずっとやってるからロック畑なベーシストって思われてるかもしれないけど、そもそもベースを始めた頃はソウルとかファンクとかフュージョンとかディスコとかその手のベースを弾いてたし、YMOとかエレクトロな音楽も好きだったし、東京に居た時はほとんどクラブミュージックばかり聴いてたから。それこそロンドンに行った時も聴いてたのはクラブミュージックばっかりだったし。
—–そうするとまたFEEDERとは全然違ったイメージですね。
ロンドンに行った時はちょうどアシッドジャズが流行ってて、その流行ってる地域に俺が住んでたのね。アシッドジャズって俺が昔聴いてたファンクとかソウルとかフュージョンとかの遊びミックスみたいな感じだったし、そういう環境にずっといて遊んでたんだよね。特にその当時は、実際アーティストとしてそういう音楽をやる事は無かったんだけど、いつか自分のロックとはまた別のルーツ的な音楽はやりたいなとは思ってた。
—–確かにdmgは基本ファンキーで踊れてって音ですよね。
そうそう。だから結構みんなに『懐かしい感じの音だね!』って言われるんだけど、そりゃーそうなんだよ。俺がずっと好きで聴いてた音をやりたいって思って出来た音なんだから(笑)。意図的というよりは、それがやりたかったわけだからね。
—–アシッドジャズが流行ってたのは90年代初頭とかだと思うんですけど、その頃のロンドンのシーンはどうでしたか?
あの時は近所にブランニューヘヴィーズなんかも住んでたし、SEALとかもその辺にいたからね。パブで遊ぶのが凄く楽しかったよ。その頃はクラブっていうよりは、パブでDJが流れてみたいなところに良く行って遊んでたんだ。
—–そもそもバンドをやり始めたきっかけなどを教えて貰えますか?
ベースの練習はそういうファンクだったりっていうのをやってたんだけど、バンドってギターの奴が何を弾くとか、どれだけ弾けるかが結構メインになっちゃうじゃない?それで周りにハードロックとかメタル好きが多かったから中学高校の頃はそんなバンドをやったりしてて。
—–ロンドンに行ったのは何歳頃だったんですか?
23歳かな。まずとりあえず海外に行きたいなって思ってて、行くなら英語圏に行きたいなと。段々絞ってアメリカかイギリス。更に絞ってニューヨークかロンドンになったんだけど、その時東京で水商売をやってたのね。友達なんかがロンドンとかから帰って来たりすると刺激を受けたりするじゃない?あとデザインとか絵も好きだったから、当時のロンドンはコンピュータグラフィックスとかも面白かったし、勉強するならロンドンかなって思ってて。それで、当時一緒に住んでた彼女がドイツ人だったんだけどドイツの大学に戻りたいっていうタイミングでロンドンに決めたんだよね。行くとしたら1年2年かなって思ってたんだけど、結局ずっと住んでる(笑)。
—–戻らなかった理由というのは?
FEEDERがまだ続いてるし、なんだかんだ家族も向こうにいるからね。
—–ロンドンへ渡って向こうでアーティストとして成功を収めたわけですが、日本のシーンなどを知らないままずっと向こうで活動していたんですよね?
元々ミュージシャンになろうと思って向こうに行ったわけじゃないから、日本のシーンとかも向こうではあまり気にしてなかったし、FEEDERで最初アルバムを出した時も日本に呼んで貰えなくて。そのアルバムの時にReading Festivalのメインステージに出たんだけど誰も注目もしてくれなかったんだよね。『日本はそんなもんか。ファックユー!』って(笑)。だから結構向こうでの活動に集中してた。それで2枚目のアルバムを出した時にやっと呼んで貰えてそれがフジロックだったのね。その時に日本にもこういうフェスがあるんだって衝撃を受けたのを覚えてる。
—–日本に居た頃には無かったフェスですしね。
そうなんだよね。フジロックで本当に日本に対する見方が変わったよね。
—–そこから日本のアーティストとの交流が始まったりしたのですか?
いや、それが何も無くて。多分俺が日本人って事も分かって貰えてたかどうかも分からないし、ロンドンに行く前は日本で特に目立った活動をしてたわけでも無かったから。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchとかthe hiatusの細見みたいな日本で活躍してるアーティストとかと交流を持ち始めたのは、ほんとここ数年だよね。仲が良かったのはINORAN位でそれまでは、誰からもほとんどアプローチが無かった。
—–段々日本での交流も増えてきて、dmgのプロジェクトも始まって、これから活動の場として日本も視野に入れ始めてますか?
そうだね。なんだかんだFEEDERが今活動してないわけなんだけど、何ていうのかな。。FEEDERは荷物が大きいっていうのかな(笑)。だからdmgだったら規模も小さいし日本で動きやすいっていうのはある。
—–ちなみに、曲なんですがトラックはTAKAさんが作ってるんですか?
うん。全部俺が作ってるよ。
—–ライブではシーケンサーなどを多用してますが、実際ライブをやってどうでしたか?
ずっとロックバンドをやってきてるから、打ち込みってある意味インチキみたいなイメージがあるんけど、使い方によっては全然違う表現の仕方があると思うのね。俺はDJがやってるような音作りをライブでやりたいって思ってこのバンドを始めたから、シーケンスを使ったからってインチキっぽい音にはならないようにしたくて。そもそも俺が作ったトラックだしね(笑)。最初は、ライブでシーケンスとかどうなのかなって思ったりもしたけど、こうやって今回日本でライブをやってそれこそもっとそれを活用して色んな事が出来たらとは思ったよね。
—–実際ライブでの打ち込みトラックと生バンドのバランスが絶妙で、出音のセンスが抜群に良かったです。
ありがとう。DJの人って作品があった上で、更にその作品にフィルターをかけたりしてミックスしてクラブでプレイするじゃない?そういうニュアンスでdmgもライブをやりたかったんだよね。作品はもちろんしっかりと作り込むんだけど、そこからまた別物にするっていう考えでね。だからアルバムでまとまってるトラックとか曲を、バンドのドラムとベースがライブでどうドス黒く壊していくかっていうのを意識しているかな。今回の日本でのライブの最初の頃は、ただトラックに合わせるだけだったんだけど、段々慣れてきて遊べるようになってきたから面白くなってきてるよね。
—–音源は音源でライブはライブって事ですよね?
うん。ライブでリミックスをするっていう感覚なのかな。それこそ本当はもっとベースを弾かないで遊んでいたいんだけど、3人しかいないしベース弾けって言われるから(笑)。もう少しライブを重ねて色々試して形は変えていきたいんだけどね。
—–そこにあの美代子さんのファンキーな踊れるドラムがライブで重なるので、よりバンドらしさも出ますよね。
そうなんだよね。俺が曲を作って後ろで弾いて、他のメンバーに花を持たせる(笑)。
—–そんな事は無いと思いますけど(笑)。
俺が曲を作ってメンバーに渡して『これどう?』って聞くと、『あの。。TAKAさんこれベース無いですけど?』って(笑)。それ位ベースを弾かなくても良いかなとは思ってるんだけど、『ベースはちゃんと弾いて下さいね。』って言われちゃう(笑)。
—–(笑)。ボーカリストの鈴さんの存在感と歌唱力も凄く魅力的ですよね。
元々ハウス系とかの歌を歌ったり、昭和歌謡も歌うし、歌の先生なんかもやってて。酒飲みの友達だから、酒も凄い飲むしね(笑)。
—–今回は合計ライブが7本で、このインタビューの時点で6本終えたわけですが、感想はいかがですか?
もっとやりたいよね。ライブをやればやる程良くなってると思うし、やりやすくなってきてる。さっきも言ったけど、最初は曲通りに合わせて終わるみたいな感じだったけど、やっぱりライブを重ねるとドンドン遊べるようになってきてる。
—–今回日本のライブハウスを中心にライブをしたわけですが、実際演奏をしてどうでしたか?
向こうだとモニターとかがぶっ潰れてるのが普通なんだけど、こっちはアンプも常設されててメンテもしっかりされてるし、ライブハウスとしてちゃんと機能してるよね。アンペグがあるのには驚いたし(笑)。こっちではスタンダードかもしれないけど向こうだと基本持ち込みだからね。
—–面白かった箱などはありますか?
clubasiaは凄く良いと思った。箱の音も凄く良いと思うし、DJなんか入ってたイベントだったからこれから回数を重ねて定着して集客も増えたらもっと良いイベントになるんじゃないかな。あとは、初めて下北沢でライブをやったっていうのが個人的にはなんか面白い経験だったよね。Cave-Beっていう小さなライブハウスだったんだけど、スタッフも凄く良かったし、良い箱だよね。
—–今回は結構急に組んだ感じですが、次回の構想などはありますか?
dmgって口で説明しても分かりにくい音ではあると思うけど、こういう音が好きな人達は結構いると思うんだよね。だから、ちゃんとそういう人達に届くように次はサポートバンドと一緒にツアーするとか出来たらいいかな。日本ってカテゴリーに入ってた方が広まりやすいし、売れる傾向にあると思うんだけど、dmgはそういうカテゴリーとか全く考えて作って無いしあまり当てはまらないと思うから、その分そういう人達に届くように出来るだけライブをたくさんやりたいって思う。夏とかフェスだったり、イベントなんかにも出れたらいいよね。
—–逆にロンドンにバンドを呼ぶなんて事もありますか?
それはもちろん考えてるけど、とりあえずまずは日本をベースに活動はしていきたいかな。
—–今後は、音源なども含めどういう流れになりそうですか?
とにかく、こういう音が好きな人や、好きになってくれそうな人に届けたい。今までロック畑で活動してたから違うシーンなんかも見たいと思うし、dmgだったらロックシーンでもクラブシーンでもどちらでも活動出来ると思うから、その可能性を探りたいな。俺はなんだかんだロックのシーンにいるけど、元々はファンクとかソウルとか昔のテクノとか大好きだったし、そういう”FUN”ミュージックをdmgで表現してるから、まずは是非音源を聴いて欲しいですね。
Photo By Kenji Nishida
“dmg”debut album 『DUSTY MELLOW GOLD』
収録曲
01.Bootsy Wah Wah
02.Don’t You Know
03.Slow Down
04.Chage Your Mind
05.イチ・ニ・サン・シ
06.Blast
07.Fever
08.Analog
09.TT-Bonez
10.Amero
¥2,500+tax BZCS-1113
発売・販売元:BELLWOOD RECORDS
商品に関してのお問い合わせはベルウッドレコード株式会社 TEL 03-3945-2303まで
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